広島市南区の内科/胃内視鏡/胃カメラ/大腸内視鏡/大腸ファイバー/経鼻内視鏡検査/胃がん/大腸がん

内視鏡検査の重要性

胃がん・大腸がん「早期がん」と「進行がん」の違い

そもそも「がん」とは?

私たちの体には、毎日のように遺伝子異常が発生していますが、ほとんどの異常細胞は免疫の働きで排除されます。それでも運悪く免疫の監視をすり抜けた異常細胞ががん細胞となり、増殖していくのです。

  • 良性腫瘍:転移しない
  • 悪性腫瘍(がん):転移する

胃がん・大腸がんの発生メカニズム

胃や大腸のがんは、“最も表層にある「上皮細胞」”に遺伝子異常が起こることで発生します。悪性細胞が増えると、横方向(表面)にも、縦方向(深く)にも広がります。

「早期がん」と「進行がん」の違いは?

がんの深さが重要な判断基準です。

早期がん がん細胞が表層にとどまっている状態(粘膜層〜粘膜下層まで)
進行がん がん細胞が筋肉の層(筋層)まで深く入り込んだ状態

がんの原因になる「遺伝子異常」はなぜ起きる?

主な原因

  • ヘリコバクターピロリ菌(胃がん)
  • 喫煙
  • 活性酸素

酸素を取り込んで生きているだけでも、活性酸素が体内に発生し、これが遺伝子を傷つける原因となります。

胃がんの生存率について

胃がんの進行度は「深さ」で決まる

胃がんの進行度は“内視鏡などで見える広がり(面積)ではなく、胃壁への「深さ」”に基づいて判断されます。

  • 1.粘膜層
  • 2.粘膜筋板
  • 3.粘膜下層
  • 4.筋層
  • 5.漿膜(しょうまく)

粘膜層・粘膜筋板にはほとんど血管やリンパ管が存在しないため、ここにとどまっているがんは転移しにくいとされています。

がんの転移とその意味

がん細胞が他の臓器へ移動するには、以下の2つの方法しかありません

  • 直接浸潤(周囲に向かって伸びる)
  • 脈管を介した転移

転移している場合、目に見えないレベルで他の臓器にもがん細胞が存在している可能性があります。これが治療後の再発リスクにつながります。

胃がんの進行度と生存率の関係

胃がんの進行度は以下の3つの軸で分類されます。

内容
深さ(縦軸) 胃壁のどこまでがんが達しているか
リンパ節転移(横軸) がん細胞がどの程度リンパ節に広がっているか
遠隔転移の有無 肝臓や肺など、他臓器への転移があるか

この3つを組み合わせたものが、ステージ(I~IV期)を決定します。

ステージ分類図(胃がんの進行度 × リンパ節転移)

ステージ分類図 日本胃癌学会編「胃癌治療ガイドラインの解説(一般用)」(金原出版)より一部改変

この図は、胃がんが「どこまで深く進んでいるか(T分類)」と「リンパ節にどれだけ転移しているか(N分類)」によって、がんのステージ(I期〜IV期)がどのように決定されるかを示しています。

胃がんのステージ別 5年生存率(目安)

ステージ 生存率(5年) 特徴
I期 90%以上 早期発見・転移なし。多くの方が治癒可能。
II期 70~80%前後 一部リンパ節への転移あり。治療により治癒も可能。
III期 50~70%前後 深い浸潤・リンパ節転移が多い。再発リスクあり。
IV期 40%以下 遠隔転移あり。延命や緩和が中心となる治療。

※施設によって若干の違いはあります。詳細は各医療機関の公表データをご確認ください。

検診の重要性

早期に発見された胃がん(I期)は9割以上が治癒可能です。しかし進行がんになると6割の方が命を落とすのが現実です。

検診の目的とは?

  • 見つけること自体が目的ではありません。
  • 助かる段階で見つけることが重要です。

胃検診(胃カメラ・胃内視鏡)の重要性

胃がんは“内側”から始まる病気です

胃がんは胃の内腔、つまり胃の内側から発生します。そのため、内腔を直接観察できる検査である「胃カメラ(胃内視鏡)」や「胃透視」は、早期発見に非常に有効です。CTやエコー、血液検査では確認しにくい小さな病変も、胃カメラでは見つけやすいのが特徴です。

早期発見で治療効果は大きく変わります

  • 早期胃がんの場合:完治率は9割以上(多くの医療機関で実証)
  • 進行胃がんの場合:再発による死亡率が約4〜6割

このことから、早期に見つけることが命を守る最大のポイントであることがわかります。

なぜ「胃カメラ」が信頼できるのか?

胃透視との違い

比較項目 胃透視 胃カメラ(胃内視鏡)
画像 白黒 カラー
情報量 形だけ 色+形
病変検出 困難なことが多い 小さな色の変化も発見可能
組織検査(生検) 不可 可能(その場で組織採取)

胃カメラは、色の変化による病変の早期発見ができるだけでなく、必要に応じてその場で組織を採取して確定診断を行うことができます。これが胃透視にはない、大きなメリットです。

胃がんは、ほとんど症状が出ません

実は、早期胃がんのほとんどは無症状です。進行すると胃痛や胸やけなどの症状が出ることもありますが、それでも気づかない方も多いのが現実です。
そのため、自覚症状が出てからの受診では遅い場合があります。早期発見のためには、症状のないうちから毎年の胃検診を受けることが最も重要なのです。

症状がなくても、毎年の胃検診を

胃がんを早期に発見・治療するためには、定期的な胃カメラ検査(胃内視鏡)が最も有効です。胃透視よりも多くの情報が得られ、確定診断まで可能な胃カメラを、私たちは強くおすすめします。

おすすめする検査タイミング

対象者 推奨される検査頻度 備考
40歳以上の方 年1回 一般的な推奨
胃がんの家族歴がある方 年1回以上 リスクが高いため、主治医と相談を
胃の不調を感じやすい方 状況に応じて 胃痛・胸やけなどが続く場合は早めの検査を
既往歴(ピロリ菌感染、胃潰瘍など)がある方 年1回以上 再発予防・早期発見のために継続的な検診が望ましい

ご自身の健康を守るためにも、ぜひ定期的な胃検診を受けてください。