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内視鏡検査の重要性

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胃の内視鏡検査、大腸の内視鏡検査の重要性(胃カメラ、胃内視鏡の重要性)1

胃がん、大腸がんの進行がんと早期がんの違いについて

まず、「がん」とは何でしょう?がんと良性腫瘍との違いは何でしょう? 答えは単純にすれば、腫瘍の中で転移するものが悪性、転移しないものは良性と考えてもらえば良いようです。そして胃がん、大腸がんとは、胃や大腸などの最も表層にある正常な細胞(上皮細胞と言います)が遺伝子異常を起こし、悪性の細胞になり大きくなったものです。逆に言えば、悪性腫瘍(がんも含めて)は全て正常の細胞から生まれているのです。どんなに若い方であっても、この遺伝子異常は毎日起こりうる可能性を持っており、実際起こっています。ただし、動物は進化の過程ですばらしい機能を身につけており、ほとんどのがん細胞は免疫の力で排除されます。この免疫の排除を逃れたがん細胞のみが大きくなっていくのです。

つまり、胃や大腸のがんは、胃や大腸の最も表層側から生まれ、大きくなっていきます。大きくなっていく時に、当然がんは大きくなるのに、表層を這うように横方向にも、表層から奥に向かって縦の方向にも大きくなっていきます。このとき横方向の大きさは、がんになって治療したときに助かるかどうかにあまり影響しません。縦の深さの方向のほうが、がんの治療後の生き死に強く影響するため、ある深さ以上の病変を進行がん、その深さまで達していないものを早期がんと名づけているわけです。

つまり、進行がんとは胃や大腸などの表層にある上皮細胞から生まれたもののうち、悪性の細胞が深くまで入ったもの(正確にいえば、筋肉の層があり、筋層と呼ばれていますが、ここまで達したもの)です。

では、これらがんを引き起こす遺伝子異常はどうして起こるのでしょう。これらはいろんな原因があります。胃ではヘリコバクターピロリ菌や喫煙などいろんな要因がありますが、実は人間の細胞は酸素を吸収し、二酸化炭素を放出しないと生きていけませんが、このときにも活性酸素が生まれ、遺伝子異常の原因となっているのです。酸素呼吸をする細胞は生きるだけで何もしなくても、遺伝子異常を起こすのです。生きるために、がん細胞の素を作るとはなんとなくむなしい感じがしますが、、、、これら活性酸素は当然喫煙などのほうが、単なる細胞の呼吸より大量に生産されます。また、この活性酸素は細胞の老化にも影響を及ぼしています。いわゆるアンチエイジングのひとつはこのような考えから生まれたものもあります。

当診療所では、胃がん、大腸がんの内視鏡検診はもちろん、これら酸化ストレスに対する体の抵抗因子である、抗酸化ストレスの指標を、血液、おしっこで測定できますので、興味のある方は、来院下さい。

胃の内視鏡検査、大腸の内視鏡検査の重要性(胃カメラ、胃内視鏡の重要性)2 

胃がんの生存率について

胃がんがどの程度進行しているかは、内視鏡などで内腔側から見た目の広さではなく、深さに依存しています。胃壁は表層から大きく分けると5層で構成されており、もっとも内腔から粘膜層、粘膜筋板、粘膜下層、筋層、漿膜の順に並んでいます。このうち粘膜、粘膜筋板にはほとんど血管やリンパ管が存在しません。また、がんは他臓器(胃がんの場合なら、胃がん以外の臓器、肝臓や肺や脳や卵巣など)に転移するためには直接伸びていく(直接浸潤)か、脈管(血管とリンパ管をあわせて脈管と呼びます)を介してよその臓器に飛んでいくしかありません。当然脈管を介してよその臓器、例えば肝臓などに転移が存在していた場合、肝臓以外の臓器にも目には見えませんが、細胞レベルの転移は存在している可能性があります。胃がんの部位を切除(内視鏡的にしろ、外科手術にしろ)できても、ほかの臓器に転移があれば、転移した部位でがんが増殖してきます。現在の医療では全ての臓器を取り除くことはできないため、この転移が生命に関わってくるわけです(現在話題になっている再生医療は、自分の細胞から臓器を生産し、臓器移植を行い、このジレンマから逃れようとするものです)。転移がのちのちの生きていける割合(乳がんを除き一般的ながんは転移している場合、5年以内に再発する傾向が高いため、5年間生きることができた方の割合をがんから生存した割合として使用し、5年生存率と呼びます。)を決定しているのです。

左の表は「日本胃癌学会編「胃癌治療ガイドラインの解説(一般用)」(金原出版)」より一部改変したものですが、胃がんの進行度を示しているものです。

いきなり見るとすごい専門用語だらけですが、比較的簡単に理解できます。この表に基づいて、胃がんの生存率をホームページなどで発表している施設が多いのですが、それは先ほどから何度も繰り返しているように、転移が予後を決定するからです。また転移は直接伸びていくか、脈管を介して遠くの臓器に飛んでいくかしかないので、直接伸びていく軸(縦軸:胃がんの深さ)、脈管を介して転移していく軸(横軸:リンパ節の転移度)となるわけです。あとは遠くの臓器に転移があるかないかとなります。ここまでくると当然I期は予後がよく、遠隔転移があるIV期は予後が悪いことは比較的たやすく理解できると思います。

早期がんとは、この表で行けば縦軸の上から2行目までの粘膜下層に限局しているものが早期がんです。上から2行目まででも表をみれば、当然IV期もありえますが、Ia、IbのI期が実際には圧倒的に多くなります。理由は先ほど投稿しているように脈管が存在するのは粘膜下層、筋層、漿膜のため、当然がんが深くなればなるほど、がんが脈管に接する割合が増え、脈管を介したリンパ節転移、遠隔転移の割合が増えるわけですから、表の対角線上に症例が多く分布するわけです。

個々の施設での治療成績は個々の病院のホームページを参照して頂くとして、全体の流れとして、5年生存率はI期では90%以上、IV期で40%程度からそれ以下、II期、III期はその中間程度です。

結局早期胃がんの場合I期の可能性が高く、ほとんどの施設で5年生存率が9割以上ということ、つまり早期胃がんで見つければがんで死なないということです。しかし進行がんだと6割は死にます。検診を受ける意義は見つかって死んでしまっては検診を受ける意味がありません。助からないと検診の意味が薄れます。医療には100%はありませんので全ての方を助けることはできませんが、早期胃がんで見つければ9割の方が助かるわけです。

胃の内視鏡検査、大腸の内視鏡検査の重要性(胃カメラ、胃内視鏡の重要性)3

胃検診(胃カメラ、胃内視鏡)の重要性について大事なことは以下の3点です。

  1. 胃がんは胃の内腔側からおこる。つまり胃カメラ、胃内視鏡から見える側から病変が生まれる、ということです。早い段階から(早期胃がんも含めて)病変を見つけるためには、胃の内腔側からの検査である胃カメラ、胃内視鏡、胃透視などが必要であるということです。
  2. 早期胃がんで見つかれば、多くの施設で9割強の方が完治するということです。
  3. 逆に進行がんではいろいろな施設で治療性成績が異なりますが、4割から6割の方が、再発にて死亡するとのことです。

つまり早期の胃がんで見つければ、がんが完治する可能性が高い、逆に進行がんで見つかると完治の割合が低下し死亡する可能性が高くなるわけです。

以上から胃がんに関しては早期発見がいかに重要であるか、また胃がんは胃の内腔側から生じるため、胃の内腔側を検査している胃カメラ、胃内視鏡、胃透視がCTやエコー検査、血液検査などに比較して有利であることが想像できると思います。

CTやPETで大腸などの管臓器の情報が検出されるようになったとは言われていますが、やはり10mm以上の病変でないと検出率は極端に悪くなります。胃カメラ(胃内視鏡)や胃透視に比べ格段に精度が落ちます。つまり現在のように医学が進歩していても胃の内腔の検査は胃カメラ(胃内視鏡)と胃透視に優るものはないのです。では胃カメラ(胃内視鏡)と胃透視を比べるとどちらがより病変の検出率が優れているのでしょうか。胃透視はみなさんもご存知のように白黒写真であり、胃内腔側の色の情報はありません。形の情報のみです。一方胃カメラはカラー写真のため、色の違いも情報となります。色の違う部位の(もっとも早期のがんの場合もあります)診断、またあやしい部位の確定診断のための組織を回収する検査も可能です。組織を採取できること、色の変化も情報に加えることができることが胃カメラ、胃内視鏡での早期発見を可能にしています。また今までの各種検査での自分の経験上、胃透視に関しては早期の病変があっても描出率が悪く、発見が少し遅れ気味で進行がんで発見されることがあるので、やはり同じ胃の検査をするなら胃カメラ、胃内視鏡を薦めます。

では、胃がんでは自覚症状があるのでしょうか?正直に言いますと、胃がんの自覚症状は早期胃がんでは出現することがまれです。ほとんどありません。進行がんになると胃痛や胸焼けなどの腹部症状が出ることがありますが、こちらも無症状のことが多いです。このため早期胃がんを見つけるためには、無症状な方、つまり毎年の検診で見つける以外難しいのです。逆に自覚症状があり見つかるものより、無症状で毎年の検診を受けている方に早期胃がんが見つかる可能性が高いです。

以上から考えると、治療可能な早期胃がんを発見するには、どうすればよいかおのずと答えは出てきます。自覚症状の無い時に定期的に行われる胃検診(胃カメラ、胃内視鏡、胃透視)が重要であることが理解できると思われます。また胃検診に関しては、透視とカメラを比較すると、圧倒的にカメラの方が情報量が多く、確定診断も生検による組織検査で可能なため、自分は胃カメラ(胃内視鏡)をお薦めします。

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