胃がん、大腸がんの進行がんと早期がんの違いについて
まず、「がん」とは何でしょう?がんと良性腫瘍との違いは何でしょう? 答えは単純にすれば、腫瘍の中で転移するものが悪性、転移しないものは良性と考えてもらえば良いようです。そして胃がん、大腸がんとは、胃や大腸などの最も表層にある正常な細胞(上皮細胞と言います)が遺伝子異常を起こし、悪性の細胞になり大きくなったものです。逆に言えば、悪性腫瘍(がんも含めて)は全て正常の細胞から生まれているのです。どんなに若い方であっても、この遺伝子異常は毎日起こりうる可能性を持っており、実際起こっています。ただし、動物は進化の過程ですばらしい機能を身につけており、ほとんどのがん細胞は免疫の力で排除されます。この免疫の排除を逃れたがん細胞のみが大きくなっていくのです。
つまり、胃や大腸のがんは、胃や大腸の最も表層側から生まれ、大きくなっていきます。大きくなっていく時に、当然がんは大きくなるのに、表層を這うように横方向にも、表層から奥に向かって縦の方向にも大きくなっていきます。このとき横方向の大きさは、がんになって治療したときに助かるかどうかにあまり影響しません。縦の深さの方向のほうが、がんの治療後の生き死に強く影響するため、ある深さ以上の病変を進行がん、その深さまで達していないものを早期がんと名づけているわけです。
つまり、進行がんとは胃や大腸などの表層にある上皮細胞から生まれたもののうち、悪性の細胞が深くまで入ったもの(正確にいえば、筋肉の層があり、筋層と呼ばれていますが、ここまで達したもの)です。
では、これらがんを引き起こす遺伝子異常はどうして起こるのでしょう。これらはいろんな原因があります。胃ではヘリコバクターピロリ菌や喫煙などいろんな要因がありますが、実は人間の細胞は酸素を吸収し、二酸化炭素を放出しないと生きていけませんが、このときにも活性酸素が生まれ、遺伝子異常の原因となっているのです。酸素呼吸をする細胞は生きるだけで何もしなくても、遺伝子異常を起こすのです。生きるために、がん細胞の素を作るとはなんとなくむなしい感じがしますが、、、、これら活性酸素は当然喫煙などのほうが、単なる細胞の呼吸より大量に生産されます。また、この活性酸素は細胞の老化にも影響を及ぼしています。いわゆるアンチエイジングのひとつはこのような考えから生まれたものもあります。
当診療所では、胃がん、大腸がんの内視鏡検診はもちろん、これら酸化ストレスに対する体の抵抗因子である、抗酸化ストレスの指標を、血液、おしっこで測定できますので、興味のある方は、来院下さい。